お酒の種類が多い西洋には、昔からお酒に関するスラング(俗語)がじつにたくさんある。 禁酒時代を乗り越えてきたアメリカでも、当時の人々の「知恵」とも言える隠語が数多く生まれた。
たとえば、ウイスキーは「ファイヤー・ウォーター(火の水)」や「ジャイアント・キラー(巨人殺し)」など
いかにも強い酒らしい強烈な呼び方が多い。
そのほか「ゲイ・アンド・フリスキー(大ふざけ、大はしゃぎの意味)」。
「スネーク・メディスン(蛇の薬)」の呼称は、ちょっとひねっても蛇をも酔わす薬、
というとらえかたもできて面白い。
ところで、「Whisky」と「Whiskey」、どうして綴りが2通りあるのだろう。
イギリスではスコッチウイスキーを「Whisky」、スコッチ以外の種類のウイスキーは「Whiskey」の綴りを使う。
これがアメリカでは、バーボンなどの自国で生産するウイスキーはすべて「Whiskey」、輸入ウイスキーは「Whisky」になる。
なんだかややこしいが、バーボンは鍵(key)つき、スコッチは鍵なし(ky)と覚えておけば区別がつけやすい。
また、ハイボール(ウイスキーのソーダー割り)の名の由来にもアメリカ説とイギリス説がある。
アメリカでは大陸横断道路建設のために使われた「空高く(ハイ)上がった気球(ボール)」を
貫通祝賀会で讃えたときの飲み物がウイスキーだった、という説。
イギリスで説がゴルフの野外スタンドで、紳士たちが偶然できたソーダー割りのウイスキーの美味しさ
に驚いていると、誰かが高く打ち上げたボールが飛び込んできたから、というもの。
あなたはどちらの説を指示する?
■バーボン・ウイスキー |
原料にトウモロコシを51%以上使用し、内側を焦がした
ホワイト・オークの新樽で熟成したアメリカの代表的なウイスキー。
トウモロコシ、ライ麦、大麦麦芽などを連続式蒸留機でアルコール分
40度以上80度以下に蒸留し、貯蔵して作られる。2年以上熟成した
ものは「ストレート・バーボン・ウイスキー」と呼ばれる。
バーボンの語源は誕生の地であるケンタッキー州バーボン郡に由来しており、
現在も8割がケンタッキー州で生産されている。 |
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■モルト・スコッチウイスキー |
スコッチ・ウイスキーは英国のスコットランドで蒸留・熟成されたウイスキー。
その原酒が「モルト・スコッチ」で、ピートの燻香をつけた大麦麦芽だけを原料に
糖化・発酵させ、単式蒸留機で2回蒸留した後、オーク樽で3年以上熟成して作られる。
ウイスキー本来のスモーキーフレーバーと香り豊かなコクが楽しめる。
単一の蒸留所でつくられた「シングル・モルト」、複数のモルトをヴァッティング(ブレンド)した
「ピュア・モルト」があり、産地は、ローランド、ハイランド、スペイサイド、アイラ島の4地区がある。
蒸留所ごとに個性があり、多彩な風味が楽しめる。 |
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■ブレンデッド・スコッチウイスキー |
個性の強い複数のモルト・スコッチ・ウイスキーをヴァッティングし、
これにまろやかなグレーン・ウイスキーをブレンドさせ再貯蔵した
英国のスコットランドで製造されるウイスキー。風味の調和がとれ、
飲みやすい味わいが特徴。ベースとなるモルトの種類と配合率から
多種多様なタイプが生まれてくる。世界で売られているスコッチ・ウイスキー
の95%はこのタイプ。表示年数はブレンドしたモルトまたはグレーンのうち、
最も若いウイスキーの熟成年数を示している。 |
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■アメリカン・ウイスキー |
アメリカでつくられるウイスキーのうち「テネシーウイスキー」は法的にはバーボンに属するが
蒸留後サトウカエデの炭でろ過してから熟成しなめらかな風味に仕上げているのが特徴。
「ライ・ウイスキー」は原料に51%以上のライ麦を使用し、2年以上貯蔵したもの。
「コーン・ウイスキー」はトウモロコシを80%使用し普通の新樽などで熟成させたもの。
これらのストレート・ウイスキーのほか、ブレンデッド・ウイスキーも多くつくられている。 |
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